歯を溶かす危険度が高い飲み物10
歯が染みる?それは酸蝕歯かもしれません
最近、熱いものや冷たいものを口に入れたときに、しみたり、歯の表面が黄ばんで見えたりすることがありませんか?もしかすると、それは「酸蝕歯」(さんしょくし)かもしれません。
歯の病気といえば、思い浮かべる虫歯は、虫歯菌が甘いものに含まれる糖類から酸をつくりだし、その酸が歯を溶かしてしまうことで起こります。ところが、酸蝕歯は甘いものではなく、酸性度の高い飲み物が日常的に歯に触れることで、その酸が歯を溶かすことで起こります。
飲み物の酸性度を示す指標にpH(ペーハー、ピーエイチ)があります。歯が溶け始めるのは、pH5.5以下の飲み物に歯が触れたときです。
唾液の力はすごい!
お口の中のpHは通常、唾液の力によって中性(pH7)に保たれています。歯は酸性を示す食物に長い時間触れていたり、唾液の分泌量が少ないと溶けてしまうことがあります。
歯は、その表面がエナメル質でできていて、エナメル質は体の中で最も硬い部分で、骨よりも硬く、歯を守っています。そんなに強いエナメル質も、pH5.5以下の飲み物が歯に当たることで溶け出してしまいます。しかし、そのときに唾液の力が十分に発揮できれば、歯が溶けなくてすみます。守られるのです。通常、pH5.5以下の飲み物が歯に触れても唾液の力で修復されるので、短時間であれば問題ないとされています。pH5.5以下の飲み物に長時間、歯が触れることで溶け始めます。長時間では中性にする唾液の力が追いつかなくなり、その結果、歯の表面のエナメル質が溶け始める、というわけなんですね。
pH5.5以下のおもな飲み物
・栄養ドリンク:pH2.5~2.8
・酎ハイ:pH2.5~2.8
・赤ワイン:pH3.4
・白ワイン:pH3.3
・野菜ジュース:pH3.9
・飲むヨーグルト:pH4.1
・ビール:pH4.0~4.3
・日本酒:pH4.4~4.9
・トマトジュース:pH5.0
・ウイスキー:pH5.0
長時間、歯が酸に触れる生活習慣になっていませんか?
ワインを片手に読書やビデオ鑑賞を楽しんでいる方も多いと思いますが、ちびちびとゆっくり時間をかけて飲むことが習慣の方はご注意ください。長い時間、pH5.5以下の飲み物に触れていると、唾液の分泌が少なくなり、唾液の力が十分に発揮できずに歯が溶け始めることになります。
一番避けたいことは、飲んでそのまま寝ることです。寝ている間は、唾液の分泌がさらに少なくなります。
予防対策として、
・だらだらpH5.5以下の飲み物を飲まないようにすること。
・飲み終えたら30分くらいあけてから歯を磨く
30分くらい空ける理由は、pH5.5以下の飲食物に歯が触れた後は、酸の影響で歯のエナメル質が柔らかくなり始めているため、すぐに歯磨きをすると、歯が傷みやすくなります。30分の間に唾液の力で口の中を中和させてから歯を磨くとよいのです。
ベストな食習慣は、夕食以降に飲食しないことです。それは、健康維持にも健康寿命の延伸にもつながります。いつまでもご自身の歯で食事ができるように、歯をいたわった食習慣をつくりましょう。