歯周病と全身疾患 (2)心臓疾患
心筋梗塞とは
日本人の死因の第2位に挙げられる心臓病の中で、代表的なものが心筋梗塞です。冠動脈が血栓(血液の固まり)によって詰まることで、心臓に血液が送られなくなり、心筋が壊死する病気で、治療が遅れると死に至る恐ろしい病気です。
動脈硬化が進んだ中高年に多くみられ、高血圧や糖尿病、高コレステロール血症、肥満、喫煙、運動不足、ストレスなどが危険因子に挙げられていますが、最近では、重度の歯周病にかかっていると心筋梗塞のリスクが高まるという研究発表が報告されています。死後に解剖した結果、心臓の血管内から本来あるはずのない歯周病菌が発見され、歯周病が原因の心筋梗塞が見つかったケースもあります。
心臓の病気と歯周病は一見まったく関係がないように思えますが、歯周病が進行すると歯周病菌の一部が口腔内の傷から血液中に入りこむと、血管壁を傷つけたり、血小板に異常を来して血栓ができやすくなったりすることがわかっています。
歯周病と心臓疾患の関係
心臓の内膜や弁膜に障害のある人にみられる細菌性心内膜炎は、そのほとんどが口の中にいる細菌です。このため、心臓疾患の予防にはお口の中を清潔に保つケアが不可欠です。
また、歯周病の原因菌が心臓をとりまく冠動脈に感染すると、毒素や炎症をひきおこす物質が血栓をおこしやすくし、動脈硬化を進行させると指摘されています。心臓疾患を患った方は食べ物や生活習慣に意識が向きがちですが(もちろんそれも大切です。)歯周病を未然に防ぐこと、歯周病になってしまっても重症化させないことが非常に重要です。
■歯周病のチェックリスト
今のところ自覚症状はない、そんなあなたも安心はできません。口臭の8割はむし歯や歯周病をはじめとする口腔内のトラブルが原因と言われていますから、まずは「歯周病セルフチェック」で、あなたのお口の健康状態を確かめてみてはいかがでしょうか(特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会 ホームページより)。
- 朝起きたとき、口の中がネバネバする
- ブラッシング時に出血する
- 口臭が気になる
- 歯肉がむずがゆい、痛い
- 歯肉が赤く腫れている(健康的な歯肉はピンク色で引き締まっている)
- かたい物が噛みにくい
- 歯が長くなったような気がする
- 前歯が出っ歯になったり、歯と歯の間に隙間がでてきた。食物が挟まる
歯周病と全身疾患の関係
・心臓疾患
・脳血管疾患
・糖尿病
・骨粗鬆症
・消化器系のがん
・誤嚥性肺炎
・早産と低出世体重時
・メタボリックシンドローム
健口から健幸を追求する私たちの考え方は、「歯は痛くなってから治療する」のではなく、「歯が痛くならないように予防する」ことが重要だと考えます。
■歯を「みがいている」ことと、「みがけている」は違う!
私たちの「食べられるしあわせ」は生きている幸せと直結します。そのために普段から歯周病にならないようなお口の中のメンテナンス「口腔ケア」に注目して、口の中の衛生管理を実践していくことがなによりも重要です。